お土産でもらったレトルトの静岡おでんや、作りすぎて余ってしまった鍋の中身。そのまま温め直して食べるのも良いですが、実は少し手を加えるだけで、居酒屋レベルの絶品おつまみに進化することをご存知でしょうか。
真っ黒なスープと独特の具材を持つ静岡おでんだからこそできる、ビールや焼酎が止まらなくなるアレンジ術をご紹介します。
1. 静岡おでんが「アレンジおつまみ」に向いている3つの理由
一般的な昆布出汁の上品なおでんとは異なり、静岡おでんは「リメイクされるためにある」と言っても過言ではない特徴を持っています。まずはその理由を料理科学的な視点で解説しましょう。
1-1. 濃いめの「黒スープ」は調味料いらずの万能ソース
静岡おでんの最大の特徴である真っ黒なスープ。これは濃口醤油と牛すじから出る濃厚な出汁がベースになっています。
すでに動物性の脂と旨味、醤油のコクが完成されているため、これ自体が強力な「調味ソース」として機能します。煮詰まれば煮詰まるほどデミグラスソースのような深みが出るため、他の食材と合わせても味がボヤけず、パンチのあるおつまみが作れるのです。
1-2. トロトロの牛すじと黒はんぺんが、焼く・揚げるで別物に進化
具材のポテンシャルも段違いです。コラーゲンたっぷりの牛すじは、冷めると煮凝り(にこごり)のようになり、加熱するとトロトロになります。
また、イワシやサバを骨ごとすり身にした「黒はんぺん」は、白いはんぺんよりも魚の味が濃く、焼いたり揚げたりすることで香ばしさが爆発的に向上します。この「加熱による食感の変化」がアレンジの鍵です。
1-3. 付属の「だし粉(青海苔入り魚粉)」が味変の神アイテム
静岡おでんに欠かせない「だし粉」。イワシの削り節と青海苔を混ぜたこの粉は、かけるだけで磯の香りと強烈な旨味をプラスできる魔法の粉です。
おでんにかけるだけでなく、焼きそば、炒め物、サラダなど、あらゆるメニューを「静岡風おつまみ」に変える力を持っています。この粉を使いこなすことこそ、アレンジの真髄と言えるでしょう。
2. 【所要時間3分】ちょい足しで劇的変化!即席おつまみアレンジ
まずは包丁も火も使いたくない時に役立つ、調味料を足すだけの「秒速アレンジ」です。味が濃い静岡おでんは、意外な調味料とマッチします。
2-1. 定番のからしは卒業?「柚子胡椒×オリーブオイル」で和バル風
和辛子も良いですが、ぜひ試していただきたいのが「柚子胡椒」と「エキストラバージンオリーブオイル」の組み合わせ。お皿に取り分けたおでんに回しかけます。
醤油ベースの黒い出汁にオリーブオイルの青い香りが加わると、不思議とバルサミコソースのような洋風な味わいに変化。柚子胡椒のキレが牛すじの脂っこさをリセットしてくれるため、白ワインにも合う一品になります。
2-2. 大根と卵が化ける!「バター焼き」で濃厚ステーキに
味が染みすぎて少し塩辛くなった大根や卵におすすめの方法です。フライパンにバターを溶かし、汁気を切った具材を入れて表面をカリッと焼きます。
醤油とバターの相性は言わずもがな。香ばしい焦げ目がついた大根は、まるで「大根ステーキ」のような貫禄が出ます。黒胡椒を多めに振れば、ハイボール泥棒の完成です。
2-3. ピリ辛がビールを呼ぶ「ラー油&ネギ」の台湾風アレンジ
中華風に味変するなら、食べるラー油(または普通のラー油)と刻みネギを山盛りにトッピングしてください。さらに「お酢」を小さじ1杯垂らすのがプロの技。
酸味と辛味が加わることで、こってりした静岡おでんが、台湾料理の「ルーローハン」の具のようなエキゾチックな味わいに生まれ変わります。
2-4. 意外な相性!こんにゃくと黒はんぺんの「キムチ和え」
一口大に切ったこんにゃくや黒はんぺんを、市販のキムチと和えるだけ。仕上げにゴマ油をひと回しします。
発酵食品であるキムチの酸味が、魚のすり身特有のクセを中和し、旨味だけを引き立ててくれます。冷たいままでも美味しいので、とりあえずの一品として最適でしょう。
3. 静岡名物「黒はんぺん」を主役に!カリッと香ばしい焼き・揚げレシピ
静岡県民にとって、黒はんぺんは「煮る」だけでなく「焼く」「揚げる」食材です。おでんの汁を吸った黒はんぺんを使うことで、下味いらずの絶品料理になります。
3-1. 静岡県民の常識?「黒はんぺんフライ」はソースたっぷりで
最もポピュラーな食べ方がフライです。おでんから取り出した黒はんぺんの水気を拭き取り、衣(小麦粉・卵・パン粉)をつけて揚げます。
中まで火が通っているため、衣がきつね色になればOK。サクッとした衣の中から、出汁を吸ったジューシーなすり身が現れます。ウスターソースをたっぷりかけてかぶりつけば、ビールが蒸発する勢いで進むはずです。
3-2. チーズを乗せてトースターへ!「黒はんぺんの磯辺チーズ焼き」
揚げ油の用意が面倒なら、トースターを活用しましょう。黒はんぺんの上にスライスチーズを乗せ、チーズが溶けるまで焼きます。
仕上げに、おでんに付属している「だし粉(青海苔)」をたっぷりかけるのがポイント。チーズのコクと磯の香りが混ざり合い、子供から大人まで争奪戦になる美味しさです。
3-3. ニンニクを効かせてアヒージョ風に「黒はんぺんのオイル煮」
小さめの鍋かスキレットにオリーブオイルと刻みニンニク、鷹の爪を入れ、一口大に切った黒はんぺんを煮込みます。
黒はんぺんから魚の旨味(イノシン酸)がオイルに溶け出し、アンチョビを使わなくても本格的なアヒージョになります。バゲットを浸して食べれば、ワイン1本がすぐに空いてしまうでしょう。
レシピ参考:黒はんぺんの美味しい食べ方 – クックパッド
4. 残った「黒スープ」を一滴も無駄にしない!締め&リメイク料理
具材を食べ終わった後に残る真っ黒な汁。これには牛すじと練り物のエキスが凝縮されており、捨ててしまうのはあまりにも勿体無いです。
4-1. 牛すじの旨味が爆発!静岡おでん出汁で作る「黒カレー」
残ったスープに水を足して調整し、市販のカレールーを溶かすだけで、何日も煮込んだようなコクのある「牛すじ黒カレー」が完成します。
醤油の風味が隠し味となり、蕎麦屋のカレーのような和風テイストと、洋食屋のような深みが同居する味に。具材が溶け残っていれば、そのまま具として活用してください。
4-2. トマト缶を入れて洋風に!「おでんミネストローネ」
意外な組み合わせですが、黒スープとトマト缶(カットトマト)は相性抜群です。スープにトマト缶と角切りの野菜(キャベツ、玉ねぎなど)を入れて煮込みます。
醤油の塩味がトマトの酸味をまろやかにし、複雑な味わいのミネストローネになります。粉チーズをかければ、完全なイタリアンに変化するから驚きです。
4-3. うどん?それとも雑炊?だし粉をかけて食べる「締めの逸品」
一番シンプルかつ王道なのが、うどんを入れること。煮込みうどんにして卵を落とせば、至福の締めになります。
ご飯派なら、洗ったご飯を入れて雑炊に。最後に必ず「だし粉」をかけてください。魚粉の香りが立つことで、ただの煮込みご飯ではなく「静岡の味」としてフィニッシュできます。
4-4. 炊飯器に入れるだけ!具材も一緒に炊き込む「茶飯風炊き込みご飯」
汁と具材が少しずつ余っているなら、炊き込みご飯がベスト。研いだお米にスープを目盛まで入れ(足りなければ水か酒を足す)、細かく刻んだ具材を入れて炊飯します。
炊き上がると、ご飯全体が茶色く色づいた「茶飯(ちゃめし)」風に。おにぎりにして翌日の朝食にするのも良いですし、焼きおにぎりにして締めのお茶漬けにするのも粋です。
5. 静岡おでんアレンジに合わせたい!最高ペアリングのお酒
アレンジした静岡おでんをさらに美味しく楽しむために、合わせるべきお酒も選び抜きましょう。
5-1. 【静岡割り】緑茶ハイでおでんの脂をさっぱり流す
静岡でおでんのお供といえば、焼酎を緑茶で割った「静岡割り(お茶割り)」が鉄板です。
緑茶に含まれるカテキンや渋みが、牛すじやフライにした黒はんぺんの脂っこさをスッキリと流してくれます。粉末緑茶を使って濃いめに作ると、より本格的な雰囲気が出ます。
5-2. 【日本酒】静岡の地酒(磯自慢など)と合わせる出汁の妙
魚のすり身や魚粉を多用する静岡おでんには、やはり日本酒が合います。「磯自慢」や「臥龍梅(がりゅうばい)」といった静岡の地酒は、魚料理に合うように設計されたものが多く、綺麗な酸味が特徴です。
熱々のおでん出汁をアテに冷酒を飲む、あるいは出汁で割る「出汁割り」を楽しむのも、通好みのスタイルと言えます。
5-3. 【赤ワイン】味噌や醤油の濃い味には軽めの赤が合う理由
意外かもしれませんが、静岡おでんは赤ワインとも調和します。ポイントは、牛すじベースの出汁であることと、味噌をつけて食べる文化(味噌だれ)があること。
重厚なカベルネ・ソーヴィニヨンよりは、日本の「マスカット・ベーリーA」や「ピノ・ノワール」のような、酸味があり軽やかな赤ワインがおすすめ。醤油やみりんの甘みと寄り添い、素晴らしいマリアージュを見せてくれます。
6. まとめ:静岡おでんはアレンジしてこそ真価を発揮する!
静岡おでんは、単なる煮込み料理ではありません。
- 焼いて香ばしく
- 揚げてジューシーに
- 汁まで使い切って絶品料理に
このように形を変えて楽しめる、エンターテインメント性の高いおつまみです。「余ってしまった」と嘆くのではなく、「次はどう変化させようか」とワクワクしながら、あなただけの静岡おでんライフを楽しんでください。


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